くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどのつらい症状の花粉症ですが、 ここではなぜ花粉症になるのか、どのようなメカニズムになっているのかを 紹介します。症状の改善・予防にはまず理解することから。 正しい知識で少しでも花粉症の症状を軽くしましょう。

 スギ花粉飛散数が3倍強に増加
 
兵庫県におけるスギ造林面積と推定壮齢面積(樹齢31年以上)、西宮での花粉飛散数
樹齢31年以上の壮齢林は花粉生産が盛んで、その面積は兵庫県においては戦前の5倍となった。兵庫県のスギ花粉飛散数は壮齢面積の増加に伴い増加しており、戦前の3.3倍と推定できる。神奈川県相模原のスギ花粉飛散数も兵庫県と同じ程度に増加した。



 中部・西日本でヒノキ花粉数が激増中
 
兵庫県におけるヒノキ造林面積と推定壮齢面積(樹齢31年以上)、西宮での花粉飛散数
ヒノキはスギより10年遅く造林が盛んになった。中部や西日本ではスギより造林面積が広大な県が多い。兵庫県におけるこの3年間のヒノキ花粉の飛散数は戦前の12倍と推定され、造林後日が浅いためさらに2010年頃まで増加する。スギ花粉とヒノキ花粉は一部抗原が共通するため、両者に反応することがほとんどで、しかもヒノキ花粉の方が症状が重いのが通例である。スギより重大な問題を抱えていながら、ヒノキ林からの花粉生産量の削減は試みられていない。



 東海道山陽沿いのヤシャブシ花粉症
道路や宅地の開発時に緑化や斜面保護のために植栽された。飛散期はスギ花粉飛散期後半であるためスギに隠れており、ヤシャブシに罹患しているかは検査を行わないと分からない。症状は重く、咽頭痛、咳、喘息、下痢、発熱、さらに抗原が共通するため果物に対してもアレルギーを生じるようになり、口や咽のかゆみ、呼吸困難、ショックがみられ、生命への危険も生じる。果物はモモ、リンゴ、イチゴ、トマト、メロン、キウイなどである。同じカバノキ科のシラカバ花粉症にも果物アレルギーが生じる。

 イネ科牧草による花粉症

稲の花粉はほとんど飛ばないので一般に花粉症は起こさない。欧米から導入したイチゴツナギ亜科の牧草が原因で、開花期は初夏(5〜6月)である。ライグラス、オーチャドグラス、チモシー、フェスクなどである。これらは緑化や斜面保護のために用いられ、そこから周囲に繁殖した。子供やゴルファーはスギ花粉より罹患しやすく、症状も重症で、果物アレルギーも生じる。


 市民生活そして経済活動にも大きく影響

屋外活動の制限、勉学や作業効率の低下をもたらす。医療費は図の結果から分かるように花粉数に比例する。1998年(図の↓)の医療費は2860億円と推定された。大量飛散の2001年は図示していないが、右上隅になり、一人当たりの薬使用量も増加するので、1998年の数倍の医療費と推定される。

 緑がいびつで荒れている
 
自然のバランスが壊れた結果、森林は崩壊し花粉症だけでなく防災や資源としても問題が生じた。

 今 後
 
各種花粉を人が共生できる数に戻すことが、真の自然の回復になる。これには新しい観点からの学際的研究と地道な努力が必要である。